宗教によらない哲学的スピリチュアル・ケア

 

坂本堯

財団法人尚徳学園  理事長  坂本 堯

 

 

私は、ドイツに留学して10年、スピリチュアル・ケアを学び、
病院で訓練を受けました。ドルトムンド市には三つの大病院があり、そこでは大変よくスピリチュアル・ケアが行われて、すべての患者が西洋医学の治療と看護を十分に享受するばかりでなく、身体的、心理的、社会的なサポートを受け、
更にスピリチュアル・ケアの専門家の世話を受けていました。

 

癌のような死亡率の高い疾病を患っている患者は、
身体の痛みや、心の痛み、社会的な苦痛のほかに、薬でも手術でも、
緩和治療でも取り去ることの出来ない多くの苦しみを持っていました。
精神的なスピリチュアルな苦痛です。

 

何故私が苦しまねばならないのか、何故死なねばならないのか、
何故家族と永遠に別れねばならいのか、死後のあの世はどうなのか、
孤独感と罪責間に患者は苦しめられていました。

 

魂の奥から湧いてくる不安と痛みに対して、
哲学的に教育され訓練されたスピリチュアル・ケアの専門家が必要でした。
医師や看護師はその苦しみを和らげる薬も手術も持っていません。
身体的、心理的、社会的な援助では不足するのです。

 

世界保健機関(WHO)は1983年に『癌緩和ケアに関する専門委員会報告』の中で
次のように指摘しています。「スピリチュアルな因子は身体的、心理的、社会的因子を包含した人間の「生」の全体像を構成する一因子と見ることができ、また生きている意味や目的についての関心や懸念とかかわっている場合が多い。」

 

 

私は、日本に帰国して、聖マリアンナ医科大学教授となり、
長谷川和夫教授、中川四郎教授、岩井寛教授などと精神科で
精神療法とスピリチュアル・ケアの研究を約20年行い、
日本社会事業大学大学院と聖学院大学で死生学を教えました。

 

また、日本心身医学会の評議員となり、
また、日本医学哲学・倫理学会を創立して今は名誉会員となっています。

 

昭和54年に岩井寛教授が54歳で癌に罹り亡くなりました。
その時の病院の医師たち、看護師などの様子から、日本の医療の欠陥が分かりました。
大学病院でさえも技術の発展にも関わらず、
哲学的に養成されたスピリチュアル・ケアの専門家が一人もいないのです。

 

日本の医療の世界には、ドイツ、イギリス、アメリカ合衆国では
当たり前になっているようなスピリチュアル・ケアの専門家がいないのです。
その必要性の十分な認識が日本の医療・介護の世界にないのです。
最近、日本にも緩和医療が出来てその専門家も育ってきました。

 

しかし、スピリチュアル・ケアの専門家が育っていません。
飯田史彦先生やキッペス先生が指摘しているように、
この専門家は、哲学的教育、確かな宇宙観、人間観、人生観を持ち、
実地の教育と訓練を必要としています。

 

この度、財団法人尚徳学園は哲学的スピリチュアル・ケアの専門家を養成する教室を
開設して、日本の医療、介護、教育の世界のために有能な専門家を養成し、
欧米先進国に負けない医療、介護、教育の世界を作りたいと存じます。

 

特に、スピリチュアル・ケアに必要な精神力を教育訓練する
パーソナルトレーニングを研究し、その教育と訓練に努力して、
日本社会の発展に貢献いたします。

 

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